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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

そう云うとナオミは、仕方なしにうッすりと眼瞼を開きましたが、睫毛の蔭から纔かに此方を覗いている細い眼つきは、その表情を一層冷酷なものにしました。

「え? お前は己が嫌いなのかよ? そうならそうと云っておくれ。………」

「なぜそんなことを尋ねるの?………」

「己には大概、お前の素振りで分っているんだ。この頃の己たちは喧嘩こそしないが、心の底では互に鎬を削っている。これでも己たちは夫婦だろうか?」

「あたしは鎬を削ってやしない、あなたこそ削っているんじゃないの」

「それはお互様だと思う。お前の態度が己に安心を与えないから、己の方でもつい疑いの眼を以て………」

「ふん」

とナオミは、その鼻先の皮肉な笑いで私の言葉を打ッ切ってしまって、

「じゃあ聞きますが、あたしの態度に何か怪しい所があるの? あるなら証拠を見せて頂戴」

「そりゃ、証拠と云ってはありゃしないが、………」

「証拠がないのに疑ぐるなんて、それはあなたが無理じゃないの。あなたがあたしを信用しないで、妻としての自由も権利も与えないで置きながら、夫婦らしくしようとしたってそりゃ駄目だわ。ねえ、譲治さん、あなたはあたしが何も知らずにいると思って? 人の手紙を内証で読んだり、探偵みたいに跡をつけたり、………あたしちゃんと知っているのよ」