Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
二十二
「誰と一緒に来ていましたか? 熊谷と一緒じゃないんですか?」
「熊谷ばかりじゃありません、いろんな男が五六人も一緒で、中には西洋人もいました」
「西洋人が?………」
「ええ、そうですよ、そうして大そう立派な洋服を着ていましたよ」
「家を出る時、洋服なんぞ持っていなかったんですが、………」
「それがとにかく、洋服でしたよ。しかも非常に堂々たる夜会服を着ていましたよ」
私は狐につままれたように、ポカンとしたきり、何を尋ねていいのやらかいくれ見当が付かなくなってしまいました。
二十二
「ああ、もし、もし、どうしたんですか、河合さん、………もし、………」
私があまり電話口で黙っているので、浜田はそう云って催促しました。
「ああ、もし、もし、………」
「ああ、………」
「河合さんですか、………」
「ああ、………」
「どうしたんですか、………」
「ああ、………どうしたらいいか分らないんです、………」
「しかし電話口で考えていたって、仕様がないじゃありませんか」
「仕様がないことは分ってるんだが、………しかし浜田君、僕は実に困ってるんですよ。どうしたものか途方に暮れているんですよ。彼奴がいなくなってから、夜もロクロク寝ないくらいに苦しんでいるんです。