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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

私とナオミとは、あれから直きに馴れ馴れしく口を利くようにはなりました。と云うのは、あの明くる晩も、その次の晩も、あれからずっと、ナオミは毎晩何かしら荷物を取りに来ないことはなかったからです。来れば必ず二階へ上って、包みを拵えて降りて来ますが、それもほんの申訳の、縮緬の帛紗へ包まるくらいな細々した物で、

「今夜は何を取りに来たんだい?」

と尋ねて見ても、

「これ? これは何でもないの、ちょっとした物なの」

と、曖昧に答えて、

「あたし、喉が渇いているんだけれど、お茶を一杯飲ましてくれない?」

などと云いながら、私の傍へ腰かけて、二三十分しゃべって行くと云う風でした。

「お前は何処かこの近所にいるのかね?」

と、私は或る晩、彼女とテーブルに向い合って、紅茶を飲みながらそう云ったことがありました。

「なぜそんな事を聞きたがるの?」

「聞いたって差支えないじゃないか」

「だけども、なぜよ。………聞いてどうする積りなのよ」

「どうすると云う積りはないさ、好奇心から聞いて見たのさ。―――え、何処にいるんだよ? 己に云ったっていいじゃないか」

「いや、云わないわ」

「なぜ云わない?」

「あたしは何も、譲治さんの好奇心を満足させる義務はないわよ。