Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
それほど知りたけりゃあたしの跡をつけていらっしゃい、秘密探偵は譲治さんのお得意だから」
「まさかそれほどにしたくはないがね、―――しかしお前のいる所が何処か近所に違いないとは思っているんだ」
「へえ、どうして?」
「だって、毎晩やって来て荷物を運んで行くじゃないか」
「毎晩来るから近所にいると限りゃしないわ、電車もあれば自動車もあるわよ」
「じゃ、わざわざ遠くから出て来るのかい?」
「さあ、どうかしら、―――」
そう云って彼女はハグラカシてしまって、
「―――毎晩来ちゃあ悪いッて云うの?」
と、巧妙に話頭を転じました。
「悪いと云う訳じゃあないが、………来るなと云っても構わず押しかけて来るんだから、今更どうも仕方がないが、………」
「そりゃあそうよ、あたしは意地が悪いから、来るなと云えば尚来るわよ。―――それとも来られるのが恐ろしいの?」
「うん、そりゃ、………いくらか恐ろしくないこともない。………」
すると彼女は、仰向きになって真っ白な頤を見せ、紅い口を一杯に開けて、俄かにきゃッきゃッと笑いこけました。
「でも大丈夫よ、そんな悪い事はしやしないわよ。それよりかもあたし、昔のことは忘れてしまって、これから後もただのお友達として、譲治さんと附き合いたいの。