Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

箪笥を買えばよかったのですが、そう云うお金があるくらいなら少しでも余計衣裳を買いたいし、それに私たちの趣味として、何もそんなに大切に保存する必要はない。数は多いがみんな安物であるし、どうせ傍から着殺してしまうのだから、見える所へ散らかして置いて、気が向いた時に何遍でも取り換えた方が便利でもあり、第一部屋の装飾にもなる。で、アトリエの中はあたかも芝居の衣裳部屋のように、椅子の上でもソオファの上でも、床の隅っこでも、甚だしきは梯子段の中途や、屋根裏の桟敷の手すりにまでも、それがだらしなく放ッたらかしてない所はなかったのです。そしてめったに洗濯をしたことがなく、おまけに彼女はそれらを素肌へ纏うのが癖でしたから、どれも大概は垢じみていました。

これらの沢山な衣裳の多くは突飛な裁ち方になっていましたから、外出の際に着られるようなのは、半分ぐらいしかなかったでしょう。中でもナオミが非常に好きで、おりおり戸外へ着て歩いたのに、繻子の袷と対の羽織がありました。繻子と云っても綿入りの繻子でしたが、羽織も着物も全体が無地の蝦色で、草履の鼻緒や、羽織の紐にまで蝦色を使い、その他はすべて、半襟でも、帯でも、帯留でも、襦袢の裡でも、袖口でも、でも、一様に淡い水色を配しました。