Japanische Klassiker mit Furigana
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らい
癩
島木 健作
Lesen Sie 癩 (らい) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.753 Zeichen · 74 Bildschirme
感覚が全然ないのであろう、泥のついた履物のままずかずかと房内に入りこむのは始終のことであった。まだ若い時田舎の百姓家のいろりの端で居眠りをし、もうそのころは病気がかなり重って足先の感覚を失っていたのだが、その足を炉のなかに入れてブスブス焼けるのも知らないでいたという、その時の名残りの焼傷の痕が残っていて、右足の指が五本とも一つにくっついてのっぺりしていた。二十歳をすぎると間もなくこの病気が出、三池の獄に十八年いたのを始めとして、今の歳になるまで全生涯の大半を暗いこの世界で過して来たというこの老人は、もう何事も諦めているのであろうか、言葉少なにいつも笑っているような顔であった。時々、だが、何かの拍子に心の底にわだかまっているものがバクハツすると、憤怒の対象は、いつもきまって同居のかの壮年の男に向けられ、恐ろしい老人のいっこくさで執拗に争いつづけるのであった。
この四人が太田の二つおいて隣りの雑居房におり、最初太田はそれだけで、彼の一つおいて隣りの独房は空房であるとのみ思っていた。それほどその独房はひっそりとして静かであったのである。だが、そこにもじつは人間が一人いるのであった。