Japanische Klassiker mit Furigana
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ほったん・でんわじけん
発端・電話事件
式場 隆三郎
Lesen Sie 発端・電話事件 (ほったん・でんわじけん) von 式場 隆三郎 (しきばりゅうざぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.102 Zeichen · 7 Bildschirme
数年来奇行がつづいて、ともに住むにたえなくなり、一人去り二人去った家族も、いまや主人が奇行人だといって放っておけない状態にあることをみてとった。そしてそのまま放っておけば、財産もどうなってしまうかわからぬ不安にかられた。そこである弁護士に依頼して、電話の取戻しを計るとともに、禁治産の申請をすることになった。
鑑定にでかけたある精神病院長は、検診を拒まれて、やむなく警官立会の上でチフスの予防注射だと偽って麻酔剤を注射し、ようやく彼を入院させた。かくて精密な調査が開始されたのである。こうして、わが赤木城吉(仮名)氏は、その奇怪な全貌を科学の手によって分析されるにいたった。彼が十余年の歳月をかけ、多額の費用をかけ、そのために多くの家族とも別れてまで努力していた二笑亭の建築も、電話事件を契機として中絶することになった。彼が心血をそそぎ、日夜その完成を愉しんだ二笑亭も、永久に未完のままで終るであろう。そして、やがて取りこわされて跡形もなくなる日も、近いであろう。
この熱烈な主人を失った二笑亭は、今や啾々たる寒風に吹きさらされている。夜盗も夜犬も、鼠どもも、この空家へ入ることはできない。