Japanische Klassiker mit Furigana
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とざんのあさ
登山の朝
辻村 伊助
Lesen Sie 登山の朝 (とざんのあさ) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.521 Zeichen · 11 Bildschirme
八月一日はブンデスタークだ、スウィス開国の記念日である。
二階の寝室で目ざましがチリチリ鳴り出した、腕時計の針はちょうど午前一時を示している、いぎたなく寝込んでしまった近藤君をたたき起こして、隣の室に出ると、上からガイドの連中が降りて来た。外は、山稜にたち切られた空に星が冷たくまたたいて、風はないが非常に寒い。入口の水たまりは、むろん、厚く凍って歯をみがくどころの騒ぎではない。簡単な食事を無理やりにつめこんで、登山服に身をかためて、さて一ぷくたばこを吸った上、室の中から、もうロープで数珠つなぎになって、雪の上に降りた。ちょうど午前二時である。
カチカチに凍りついた雪を踏みしめて、サック、サック、一足ごとに杖をついて、星明かりに青く光る雪の斜面にかかった時、かつて覚えない緊張した気持ちになった。先登はヘッスラーで、次が私、フォイツは後殿である、ガイドの持ったランターンが、踏み固めた雪路に赤くにじんで、東へ東へと揺れて行く。昨日の跡が凸凹に凍っていて非常に歩きにくい、がそれがなかったなら、ぼーっと一面に螢光を放って、闇に終わる広い雪の斜面に、私たちは取るべき道を迷ったに相違ない。