Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいかべ
白い壁
本庄 陸男
Lesen Sie 白い壁 (しろいかべ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.697 Zeichen · 51 Bildschirme
わあわっわ……と叫んで、教師の首といわず肩といわず、およそぶら下り触れうるところに噛りつくのであった。涎と鼻くそと手垢をこすりつけ、なぜかそうして満足し野方図にはしゃぎまわった。
頑丈な金網をその周囲に高々と張りめぐらしている屋上運動場は、それだけで動物園の大きい檻を連想させた。そこだけが日没まで彼らにとって唯一の遊び場所になっていた。けれどもそこで一あばれすれば、初冬の陽がたちまち傾き、吹き抜ける風が目立って冷めたくなるのである。子供たちの唇はいちように紫色にかわる、その冷めたさを撥じきかえしてやろうという気力はなかった。ただ変な顰め面をして黙りこみ、しかたなしのように金網にへばりつく。すると網の目から、帰らねばならぬ自分の家が見える。汚れた場末の黒く汚れた屋根の下に自分の家を考えていよいよ不機嫌になるのだった。それが彼らに幸福かどうかは判らないが、杉本は一刻でも多く子供だけの世界に彼らを引き止めようとする――
「阿部、阿部――」ひょうきんな、さい槌頭の阿部が「何でえ――」と答えながら教師の方へふりかえる、「お前の家はどこにあるんだ?」
「あたいん家か? あたいん家はねえ」