Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいかべ
白い壁
本庄 陸男
Lesen Sie 白い壁 (しろいかべ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.697 Zeichen · 51 Bildschirme
そして検査場の隅に脱ぎ棄てておいた自分の着衣を捜しだす、垢に汚れたシャツにはぼたんが一つもついていなかった。
椅子から腰をあげた医師は、昇汞水に指を浸してゆっくり消毒しながら、後手を組んでつっ立っている校長に話しかけた。
「今の子の家庭は何でしょうかね?」
校長は子供に混っている杉本をじろっと見て、「君い――そのう……」と訊ねた、「今の子のうちは何をしとるんかね?」
ずたずたとなった三尺を捲きつけていたその子はふいにその手を停め、やぶにらみに受持教師の顔色をうかがっていた。杉本は「さあ――」と首をふって答えなかった。すると看護婦が気を利かしたつもりで、調査簿に書きこまれた家庭職業を報告した。
「金偏に芳――かんばしいの芳が書いてありますが、私には読めませんわ」
そう言って彼女も白い顔をあげ、杉本の方を見て答を求めるのであった。
子供はそんな風に自分の家のしがない職業を、多くの人の前で詮索されるのが嫌でたまらないのである。彼は俯向いていた。杉本は蹲んで子供の三尺をしっかり結んでやる。お前は教室に行ってよしと言って、その部屋から外へ出してやった。それから大人たちの好奇心を満たさねばならなかった。