Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろいあさ

白い朝

豊島 与志雄

Lesen Sie 白い朝 (しろいあさ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.920 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

がちゃりと電話を切るんですよ。向うの声はちがってたけれど、いつも、奥さん……奥さん……て、いやに丁寧らしく、そしてがちゃりと切ってしまうんです。電話をかけてくるくらいの人なら、先生の奥さまが、葉山に転地なすってることくらい、知ってる筈だのに……。」そして言葉を切って、暫くして、呟くように云いました。「それに、どうせあたしは、お嫁にやられるかも知れないわ。」

「お嫁にいってから奥さんになるんでしょう。」

そう正夫は皮肉に云いました。なにかしら不服なんです。

「いいえ、ちがうのよ。両方の話、別々なんです。別々の話よ。だから……。」

駒井さんはいろいろ話したいことがあるようです。それを、どう話してよいか分らないようです。そして正夫の肩を抱きしめる工合に、よりかかってきました。

正夫は急に、駒井さんの胸に顔を伏せました。

「あたし、どこにもいきたくないのよ。」

言葉がとぎれると、雨の音がしとしとと聞えてきました。

「あら、濡れてるわ。」

駒井さんは正夫の背中をなでまわしました。駒井さんの着物だって、しっとりしています。

何かちがいます、想像してた駒井さんと、ちがうんです。