Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろいあさ

白い朝

豊島 与志雄

Lesen Sie 白い朝 (しろいあさ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.920 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「あれ、どんな意味なの。」

「あの通りの意味よ。」

駒井さんは、じっと正夫の顔を見て、また微笑みました。

「そんなこと、どうでもいいのよ。」

そして正夫を引きよせました。

「ご免なさい、泣いたりなんかして。ただ、へんに、恐ろしかったのよ。」

それで、驢馬の耳も理髪師も、どこかへ消えてしまいました。そうだ、正夫も、なんだか恐ろしくて悲しかったのです。

暫く黙ってると、こんどは、駒井さんが云いました。

「お二人で、喧嘩になりはしないかしら。」

やはり芝田さん兄弟のことです。正夫は微笑みました。

「康平さんがなにか云っても、おじさんが相手だから、喧嘩なんか……。」

「そうね。」

おかしいのは、六つも年上の駒井さんの方が、正夫の妹のようなんです。

芝田さんのことが消えてしまっても、あとになにか残って、淋しいのです。

「ねえ、正夫さん、あたしたち、いつまでも、お互に忘れないようにしましょうね。」

またふっと、涙がわいてきそうです。

「いやだ、そんなこと言っちゃ……。」

駒井さんは眼をつぶっています。弾力性のある小さな口付が、かすかに震えています。

正夫は駒井さんの胸に、顔を押しつけていきます。