Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいかや
白い蚊帳
宮本 百合子
Lesen Sie 白い蚊帳 (しろいかや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.800 Zeichen · 18 Bildschirme
「長い大神楽だね」
「その代りこんな傑作が出来た」
「見て呉れ、よう。じゃない?」
吉右衛門の河内山の癖をもじって、皆、スケッチをそっちのけに笑った。
詮吉が散歩に出たいと云う、総子は風があるから厭だと云う。結局なほ子と詮吉とだけ出かけることになった。
詮吉は軽そうなセルに着換え、ステッキを下げて出て来た。
「この位風があれば殺生石も大丈夫だろう。一つ見て来よう」
「お総さん、見ずじまいになっちゃうわ」
「いいさ、我まま云って来ないんだもの、来たけりゃ一人で来ればいい」
なほ子は先に立って、先刻大神楽をやっていた店の前から、細いだらだら坂を下った。
「道、分ってるの」
「ええ」
夏の準備に、あっちこっちで路普請や建て増しをしている。その坂のところでも僅かな平地に日当り悪そうな三階建が立ちかかっていた。一雨で崩れそうなごろた石の石垣について曲り、道でないような土産屋の庇下を抜けると、一方は崖、一方に川の流れている処へ出た。川岸に数軒ひどい破屋があって、一軒では往来から手の届く板の間に黄色い泥のようなもので拵えた恵比寿がいくつも乾してあった。
「――ひどい路だな」
なほ子は黙って歩いた。