Japanische Klassiker mit Furigana
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しろくれない
白くれない
夢野 久作
Lesen Sie 白くれない (しろくれない) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.846 Zeichen · 50 Bildschirme
又、彼の馬十と呼べる下男は此処より十里ばかり東の方、豊前小倉城下の百姓にて、宮角力の大関を取り、無双の暴れ者なりし由。仲間の出入りにて生命危ふかりしを万豪和尚に救はれしものに侍り。和尚の与へし切支丹煙草、唖妣烟を吸ひしより以来、魂虚洞呂の如くなりて心獣の如く、行ひ白痴の如し。たゞ/\牛馬の如く和尚の命に従ひて、此寺の活計、走使ひなぞを一心に引受け居り候ひし者。その後、妾、此寺に来りし後は、何となく妾を慕ひ居るげにて、和尚の言葉よりも、わが云ひ付けをのみ喜び尊み、事あれば水火をも辞せざる体に侍り。まことに不憫の者と存じ候へ。
さる程に妾、虫の知らせにかありけむ。今朝は、いつにも似ず早く眼醒めつ。御身の此寺に近付き給へるを垣間見、如何はせむと思ひ惑ひ候ひしが、所詮、人間道を外れし此身。神も仏も此世には在しまさずかし。今は何ともならばなれと思ひ定めて和尚の枕元なる種子島の弾丸、轟薬を二つながら抜取り、代りに唾液にて噛みたる紙玉を詰め置き、扨、和尚を揺起して、かく/\の人、六部の姿して此寺に来ませしと、世間の噂、取り交ぜて告げ知らせしに和尚、打喜ぶ事一方ならず。