Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろくれない

白くれない

夢野 久作

Lesen Sie 白くれない (しろくれない) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.846 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

私は夏肥りに倦み切った身体を扇風器に預けていた。

「あの白い花の正体がおわかりになりましたでしょうか」

「ウン。わかったよ。九大農学部に僕の友人が居ると云ったね」

「ヘエヘエ。たしか加藤博士様とか」

「馬鹿。そんな事云やしないぜ。第一博士じゃない。富士川といって普通の学士だがね。所謂万年学士という奴だ。植物の名前なら知らないものはないという」

「ヘイ。エライもので御座いますな」

「そいつにあの花を送って調べさしてやったら、いくら研究しても隠元豆に相違ないと云うんだ」

「ヘエッ。どちらが隠元豆なんで……」

「どっちも隠元豆なんだ」

「テヘッ。飛んだ変幻豆でげすな」

「洒落にもならない話だよ。もっとも隠元豆にも色々あるそうで、何十通りとか変り種がある。その中でもあの紅い方のは、昔から観賞植物になっていたベニバナ・インゲンという奴で、白い方のが普通の隠元豆なんだが、素人眼には花の色を見ない限りちょっと区別が付きにくいという」

「成る程。奇妙なお話もあればあるものでげすな。ヘエ」

「まったくだよ。そこでその富士川って学士も念のために、わざわざ清滝の切支丹寺まで行って調べて来たんだそうだが、すっかり野生になっているので、いよいよ紅花隠元に似ていたという。