Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろばなのあさがお

白花の朝顔

泉 鏡花

Lesen Sie 白花の朝顔 (しろばなのあさがお) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.880 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

蔓を引いて、葉を添えた。

「うまいなあ、大野木夫人。」

「知らない。――このくらいな絵は学校で習います。同行二人――あとは、あなた書いて下さいな。」

「御意のままです、畏まった。」

「薄墨だし……字は余りうまくないのね。」

「弘法様じゃあるまいし、巡礼の笠に、名筆が要りますか。」

「頂くわ、頂きますわ。」

と、被ろうとする。

「お、お待ち下さい。――二階が余り静です。気障をいうようだが……その上になお、お髪が乱れる。」

「可厭な、そんな事は、おいらんに。」

「ああ、坊主になります。」

首を縮めた。

「ちょうどいい、坊主が被って見せましょう。」

と、魔がさしたように、いや、仏が導くように、笠を被ると、笠の下で、笠を被った、笠の男が、笠を被って、ひとりでに、ぶらぶらと歩行き出したのです。

中の室から、玄関へ、式台へ、土間へ、格子へ。

ハッと思わず気が着いたが、

「お洲美さん、貰って行きます。」

我知らず声が出ました。

「あれ、奥様。」

女中が飛出す。

お洲美さんは、式台に一段躓きながら、褄を投げて、障子の桟に縋ったのでした。

ぶつぶつと、我とも分かず、口の裡で、何とも知らず、覚えただけの経文を呟き呟き、鶯谷から、上野の山中をって歩行いた果が、夜ふけに、清水の舞台に上った。