Japanische Klassiker mit Furigana
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しろへびのし
白蛇の死
海野 十三
Lesen Sie 白蛇の死 (しろへびのし) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.881 Zeichen · 24 Bildschirme
――大丈夫よ。まさか親分だって、そんなに女房を疑っちゃ、お爺さんの癖に外聞が悪いもの。かまうもんか、知れたら知れた時の事さ」
妖婦気取りのお由は、国太郎にぴったり寄添いながら非常に嬉しそうであった。そして散々この気の弱い青年をいじめぬいて、少しも側から離そうとはしなかったが、つい先刻になって不図気が変ってしまった。
「矢っ張り私、帰った方が好いわ。あんた怒りゃしないわね。又来るには泊らない方が出好いもの、ね」
「だってもう十二時過ぎだぜ」
「怖かあないわ。こう見えたって白蛇のお由さんだもの。夜道なんか平気よ」
「じゃ、其処まで送って行こう」
「無論だわよ」
お由はまだ国太郎に絡み纏りながら、裏梯子から表へ出た。が、塀を一つ曲って此処まで来ると、
「あら、私紙入れを置いて来ちゃった。ほら、先刻帯を解いた時、一寸本箱の上へ置いたのよ。あんたが悪いんだから、いそいで取って来てよ」
お由は国太郎の胸を肩で小突いて、二人の時だけに見せる淫蕩な笑いを顔一杯に浮べていた。その濃艶な表情が、まだはっきりと国太郎の眼に残っているのに――
すぐに紙入れを取って引返して来た時には、もうお由は此処に仆れていたのであった。