Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Lesen Sie 白蟻 (しろあり) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.099 Zeichen · 106 Bildschirme
そのとき不思議な事には、あれほど逐いきれなかった蠅の唸りがピタリと止んでしまい、その蔭から、滂沱と現われ来った不安が、彼女を覆い包んでしまった。最初そこから低い囁きが聴え、しだいに高まってくると、やがて圧したように、滝人を動けなくしてしまったのである。しかし、彼女の病的な神経は、いちいちその相手になって、たまらない応えを喋りはじめた。
鉄漿――あるいはそうではないかしら。たとえ黙語にしても、その一番強い発音が声帯を刺激するとどのように類似した言葉でも、その印象の蔭に、押し隠されてしまうと云うではないか。その忘却の心理には、きわめて精密な機構があって、同じ発音の言葉でも、抑揚が違う場合には、一時ことごとく記憶の圏外に擲げ出されてしまう。そうではないか。したがって(八(はち)――九(く)――六(ろく)と)記憶をしいた一連のうちで、冒頭のはとくとろが、あるいは盲点を、鉄漿という観念の上に設けていたかもしれないのである。そうすると滝人には、鉄漿に関する知識が泉のように溢れてきて、あの皺に見えたというのも、その実、鉄漿かぶれ(鉄漿を最初つけたときに、あるいは全身に桃色斑点を発することがあるけれども、それは半昼夜経つと消えてしまう)の斑紋だったかもしれないし、また歯が脱けていて、そこが洞のように見えたというのも、あるいは