Japanische Klassiker mit Furigana
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まゆかくしのれい
眉かくしの霊
泉 鏡花
Lesen Sie 眉かくしの霊 (まゆかくしのれい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.284 Zeichen · 51 Bildschirme
望みこそすれ、嫌いも避けもしないのだけれど、不思議に洗面所の開け放しばかり気になった。
境はまた廊下へ出た。果して、三条とも揃って――しょろしょろと流れている。「旦那さん、お風呂ですか。」手拭を持っていたのを見て、ここへ火を直しに、台十能を持って来かかった、お米が声を掛けた。「いや――しかし、もう入れるかい。」「じきでございます。……今日はこの新館のが湧きますから。」なるほど、雪の降りしきるなかに、ほんのりと湯の香が通う。洗面所の傍の西洋扉が湯殿らしい。この窓からも見える。新しく建て増した柱立てのまま、筵がこいにしたのもあり、足場を組んだ処があり、材木を積んだ納屋もある。が、荒れた厩のようになって、落葉に埋もれた、一帯、脇本陣とでも言いそうな旧家が、いつか世が成金とか言った時代の景気につれて、桑も蚕も当たったであろう、このあたりも火の燃えるような勢いに乗じて、贄川はその昔は、煮え川にして、温泉の湧いた処だなぞと、ここが温泉にでもなりそうな意気込みで、新館建増しにかかったのを、この一座敷と、湯殿ばかりで、そのまま沙汰やみになったことなど、あとで分かった。