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Japanische Klassiker mit Furigana

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やのしのとい

矢押の樋

山本 周五郎

Lesen Sie 矢押の樋 (やのしのとい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.468 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

二

て来た。……そこで藩では非常倉の一部を開くと共に、江戸、大坂への糧米買付けを督促したが、是が資金の足らぬため一向に埒が明かないのである、それは米の大出廻り地方が不作模様であるのと、奥羽諸国の大藩が一時に買付けて来たので、現銀仕切りでないと商人が動かなくなっていたからであった。

二

――お貸下げを願う他に策はない。

老職たちの望みはその一点に懸っていた、そして借款願いを出したのだが、幕府では折から綱吉が五代将軍を継ぎ、政治改革を急いでいる時であったのと、向田藩には前将軍時代から片付かぬ借款があるため、江戸邸を通じての出頭は拒否されてしまった。然しそれで済む場合ではない、国許老職は相談のうえ、改めて矢押監物を使者として江戸へ送った。

監物はまだ二十九歳の青年だが、矢押家は家老職たる家柄で、現国老の塩田外記には娘婿に当っていたし、後任国家老としては外記以上に嘱望されている人物だった。……彼は娶って間のない妻を弟に托し、

――出来る限り努力を致します。

と固い決意を見せて出府した。

重太夫はそのときの監物の眼をよく覚えている、そして必ず任務を果して来て呉れると信じている、だから蔵屋敷へも自信を持って買付けの督促が出せたのだ。