Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちちぶきこう

知々夫紀行

幸田 露伴

Lesen Sie 知々夫紀行 (ちちぶきこう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.784 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

くず湯に入るべき白き砂糖のなかりければ、老の足のたどたどしくも母屋がり行きもどりせしとは問わでも知らるるに、ここらのさびしさ、人の優しさ目のあたり見ゆ。ただし今の世の風に吹かれたる若き人はこうもあらぬなるべし。

かくてくず湯も成りければ、啜る啜るさまざまの物語する序に、氷雨塚というもののこのあたりにあるべきはずなるが知らずやと問えば、そのいわれはよくも知らねど塚は我が家のすぐ横にあり、それその竹の一ト簇しげれるが、尋ねたまうものなりと指さし示す。氷の雨塚とは太古のいまだ開けざる頃の人の住家もしくは墓穴のたぐいを、むかし氷の雨降りたる時人々の隠れたりしところならんと後のものの思いしより呼びならわせし名にやあるべき、詳くは考うべき由なし。大淵、小柱、金崎、皆野、久那、寺尾等秩父郡の村々には氷雨塚と称うるもの甚だ多く、大野原には百八塚などいうものあり、また贄川、日野あたりには棒神と唱えて雷槌を安置せるものありと聞きしまま、秩父へ来し次手には、おおむかしのかたみの氷の雨塚というもののさまをも見おぼえおかんとおもいしまでなりしが、休めるところの鼻のさきにその塚ありと聞きては、心もはずみて興を増しつ、身を起してそこに行き見るに、塚は小高き丘をなして、丘の上には翠の葉かげ濃やかに竹美しく生い立ちたり。