Japanische Klassiker mit Furigana
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いしころみち
石ころ路
田畑 修一郎
Lesen Sie 石ころ路 (いしころみち) von 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.254 Zeichen · 39 Bildschirme
彼は喰べ物をくれる家の奥さんには絶対服従だ。子供のように何度でも欲しがる。どうかすると、一度すましたお椀だの箸だのを洗場へ持って行ったかと思うと、またのこのこそれを持って台所へひき返す。
「あら、今喰ったばかりだよ。何という恰好なの、それ」と奥さんは叱りつけながら笑いだす。彼はまたひょこひょこと、それが癖なのだが、ほとんど前のめりにふらつくようにして、食器を持って引き下がる。
彼にはもう一人苦が手がある。それは民さんだ。民さんは昌さんを晩になると風呂に入れてやったりするし、けっして働こうとしない昌さんを叱りつけて放牧につれて行ったりするが、昌さんはいつのまにか脱けもどってくる。民さんは昌さんとちがって、僕を見ると人なつこく寄ってきて、その小さな眼に何だか溶けるような笑いを見せて、いくらか涎を吸い気味にいろんなことを話しかける。晩になると、母屋の方へ遠慮しいしい僕のところへ話に来る。民さんの話や、奥さんから聞いたところを綜合すると、民さんは日本橋の大きい問屋の生れで、暁星中学三年まで行ったという。そのころから頭が悪くなって、滝の川学園へ預けられた。滝の川学園というのは僕は知らなかったが、いい家の息子で頭のわるいのを教育する所らしい。