Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いしころみち

石ころ路

田畑 修一郎

Lesen Sie 石ころ路 (いしころみち) von 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.254 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

後で聞くと、昌さんは例の正代の母親にあたる白痴が来ると、ひる間でも近くの社の絵馬なんかのある建物の中に二人で寝るという。それをまた民さんが気狂いのように怒鳴りつけるということだった。僕は何とも言えない妙な気がした。あの白痴の女にも選ぶということがあり、そして昌さんの方が民さんよりも選ばれたのだろうか。昌さんが民さんを苦が手なのはそういういろんなことがあるのだ、と思われた。昌さんは自分に害を与える者とそうでない者とを敏感に見分ける。害を与えない者には全然の無関心を示す。はじめのうちは、僕を遠くから見るようにしていたが、今は傍にいてもまるで気にとめない風で、僕の見ている前だと、平気で、喰物の桶なんかに手をつっこむ。それでいて、あたりをじつに警戒してさっとやるのだが。

四十日近くいるうちに、僕はだんだん自分のことを忘れて行った。家からは妻の手紙が来て、早く帰ってもらわないと困る、と言ってきた。どの手紙にも、僕がどうしているかということはほとんど書いてなく、困るということだけが書いてあるので、今さらのようにあいつらしいと思った。だが、彼女も憐れむべきやつだと重ねて思った。