Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いしをのせたくるま

石をのせた車

小川 未明

Lesen Sie 石をのせた車 (いしをのせたくるま) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 6.082 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

すると車の上から、小さな石ころが一つ転げ落ちました。なんの気なしに振り向いてみると、その石が不思議にきらきらと光っていました。

「石が落ちた。」と、少年は、男に注意をしたけれど、男は黙っていました。返事をするのも物憂かったようすであります。また、石ころ一つくらいどうでもいいと思っているようにも見えました。少年は、坂の上まで押してやりました。しかし、男は下り坂にかかると礼もいわずに、さっさといってしまいました。

独り後に残された少年は、ぼんやりと立っていましたが、なんとなく、光る石に気が引かされましたので、わざわざもどってそれを拾ってみました。それは、黒っぽい岩のような石のかけらでありました。少年は、その夜は、ついにこの石を抱いたまま、坂の下の草原の中で野宿をしました。

夏の夜明け方のさわやかな風が、ほおの上を吹いて、少年は目をさましますと、うす青い空に、西の山々がくっきりと黒く浮かんで見えていました。そして、その一つの嶺の頂に、きらきらと星が光っていました。少年は、じっと星の光を見ていますうちに、熱い涙がしぜんと目の底にわいてきました。それは、産まれ変わったように体が強くなって、ふたたびこの世の中に出て働くことのできる、長い、長い、未来の生活が空想されたからであります。