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Japanische Klassiker mit Furigana

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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Lesen Sie 石狩川 (いしかりがわ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 253.535 Zeichen · 506 Bildschirme

Aozora Bunko

抱かれて慄く彼女の肢体がそれを語っていた。戦乱に駈けずっていた男を、じっと待っていた新妻であった。無事でようこそと、ほッとするひまもなかった。あわただしい移住の企てであった。そして――うん? と彼は考えた。彼女は苦しげにものを嘔げていた。早く帰れとは云わずに、瞳をうるませた女であった。こういう場合にうまれて来る新たな人間の生命はこれからどういうことになるであろう――親たちは、三日が三年にも値するような日に出あって、若い日をめちゃくちゃにした。それでも生きのびようとあせっている。

「おい!」と彼は呼びかけた。何か、つまらぬ話をしたかった。

人夫はそれどころではなかったのだ。

沼から来るという川は、その沼川の口にあたって、戸まどい流れ、水面をひろげて低い岸にあふれあがっていた。疎らになり、やがて、痩せた灌木となるヤナギの木も姿を消した。あとはまた茫洋としたヨシの草野であった。地下茎の上に地下茎を伸ばし、その上におのれの葉や茎を腐らかし、またその上に根を張り、葉をしげらし、枯れ頽れ、――積みあげ積み重ねた数えきれないほどの春夏秋冬が、踏めば沈むような低位泥炭土をつくっていた。