Japanische Klassiker mit Furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lesen Sie 石狩川 (いしかりがわ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 253.535 Zeichen · 506 Bildschirme
枝々の雪が思いだしたように墜ちて、ばさッと音を立てた。すると、重荷を投げすてたその枝は、生きもののように跳ね起きて、ぶるンぶるンと上下左右に身ぶるいをした。――拍子に幹を揺ぶるのである。参差した枝々には時ならぬざわめきが起った。それらの枝にちょこなんととまっていた雪は、はずみを喰ってだッと墜ちた。墜ちがけに、からかさのように拡がった隣りのトド松の枝をつき飛ばした。それは、篩のように揺すぶれ、弾力のあるかたい葉は顫動しつづける。雪はほこりのように降って来た。墜ちる雪と舞い立つ雪が濛々と立てこめた。
すーッと寒くなった。陽がかげったような気がした。しかし、二人は、今はそれを見かえそうとはしないのであった。見ても見えないであろうと思った。樹林のなかは絶え間なしに雪げむりが捲き立っているし、上にはうす暗いほど樹の枝が入りくんでいたのだから。
けれども、もっと切実な惧れが、彼らの身肌に見るな見るなと囁いていた。これほど強行している熱した皮膚に、ふッと刺さったその寒気をこれは曲者だと気づいていたのだ。天候が突変しつつある――或いは、突変してしまったと云うことは、こうなってしまっては、もう、悔いてもはじまらぬ事実だ。