Japanische Klassiker mit Furigana
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かみがみのびしょう
神神の微笑
Lesen Sie 神神の微笑 (かみがみのびしょう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.156 Zeichen · 19 Bildschirme
いや、そう云う宝よりも尊い、霊妙な文字さえ持って来たのです。が、支那はそのために、我々を征服出来たでしょうか? たとえば文字を御覧なさい。文字は我々を征服する代りに、我々のために征服されました。私が昔知っていた土人に、柿の本の人麻呂と云う詩人があります。その男の作った七夕の歌は、今でもこの国に残っていますが、あれを読んで御覧なさい。牽牛織女はあの中に見出す事は出来ません。あそこに歌われた恋人同士は飽くまでも彦星と棚機津女とです。彼等の枕に響いたのは、ちょうどこの国の川のように、清い天の川の瀬音でした。支那の黄河や揚子江に似た、銀河の浪音ではなかったのです。しかし私は歌の事より、文字の事を話さなければなりません。人麻呂はあの歌を記すために、支那の文字を使いました。が、それは意味のためより、発音のための文字だったのです。舟と云う文字がはいった後も、「ふね」は常に「ふね」だったのです。さもなければ我々の言葉は、支那語になっていたかも知れません。これは勿論人麻呂よりも、人麻呂の心を守っていた、我々この国の神の力です。のみならず支那の哲人たちは、書道をもこの国に伝えました。