Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
瞬間湯気が渦巻いたが、すぐに杖を引き出した。尖端から滴たったは水銀色の滴で石畳へ落ちたと見る間もなく、どうだろう石畳の一所へ、小穴が深く穿たれたではないか! 水銀色の滴には、世にも恐ろしい力強い、腐蝕作用があるのらしい。
と、華子であるが腕を延ばすと、スーッと杖を突き出した。桔梗様の顔から一尺のこなた、そこまでやると止めたものである。
「穴が穿きましょう、綺麗な顔へ! 鉛を変えて黄金とする、道教での錬金術、それに用いる醂麝液、一滴つけたら肉も骨も、海鼠のように融けましょう、……さて付ける、どこがいい? 額にしようか頬にしようか? 眼につければ眼が潰れる、鼻へ付ければ鼻がもげる、耳へ付ければ耳髱が、木の葉のように落ちてしまう! さあさあさあ、それそれそれ!」
そろりと杖を突き出した。距離を五寸に縮めたのである。
「お云い!」と華子はそこで云った。「お前は昆虫館館主の娘、蝶のありかを知っている筈だ! もう一匹、さあどこだ?」
そろそろそろそろと杖を出す。その杖の先と桔梗様の顔と今にも今にも触れ合おうとする。杖の先が顫えている。と一滴その先から、ポタリと滴が床に落ちた。