Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

と呼ばわった。

考えがグルグル渦を巻く。その間も滝は落ちて来る。ズンズンズンズン水が増す。

「出なければならない、この部屋から! ……助けなければならない、桔梗様を! ……だが出られない! 助けることも出来ない! ……桔梗様! 桔梗様!」

ザ――ッ、ザ――ッと落ちる水! 次第にまさる水の量!

一式小一郎はこの部屋で、溺死しなければならないだろう。

だが本当に桔梗様は、この頃何をしていたろう?

三十六

ここは華子の錬金部屋である。床へペッタリくず折れて、身悶えしているのは桔梗様である。袖で顔を蔽うている。肩で烈しく呼吸をしている。歔欷ている証拠である。

その前に墨の柱のように、黒の道服を身に纒い、立っているのは華子であった。黄金の杖を差し出している。杖の先からは醂麝液が、水銀色をして落ちている。落ちるに従って石畳の上に、小穴がポッツリポッツリと穿く。そうして煙りがポ――ッと立つ。

唐獅子型の火炉の中では、火が赤々と燃えている。火炉には釜がかかっている。巨大な唐風の釜である。釜から立ち上っているものは、乳色をした湯気である。部屋全体が煙っている。