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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

特にその眼が美しい。情熱のためには理性など、うっちゃってしまいそうな眼付きである。上唇に黒子がある。かえって愛嬌を添えている。「こいつは本物の馬子ではないな」小一郎はひそかに考えた。「女賊などではあるまいかな」

すると女が声を掛けた。「大丈夫でございますよお武家様、妾悪人ではございません」

「ううん」と小一郎は参ってしまった。「何を申すか、つまらないことを!」

「お心で思っていらっしゃったくせに」

これにも小一郎は参ってしまった。

「お前には解るのか、人の心が!」

「旦那様のお心なら解ります」

「これは驚いた。どうして解る?」

「好きなお方でございますもの」

「え?」とまたまた小一郎は、胆を潰さざるを得なかった。「お前は俺が好きなのか!」

「一眼で好きになりました」

「ヤレヤレ」と小一郎は苦笑した。「途方もないことになってしまった」

「恋しいお方のお心持ちだけは、恋している女に解ります」

「馬子! あんまり嚇してはいけない!」

「ホ、ホ、ホ、ホ、ご免遊ばせ」

どうにも小一郎には見当が付かない。何んだろういったいこの女は? そこで身の上を調べることにした。

「ところでお前の名は何んというな?」