Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
エッサ、エッサ、エッサ、エッサと、舟、上流へ駛って行く。
ちょうどこの頃のことである。大川の名が隅田川と変わり、向こうの岸は三囲社、こっちの岸は金竜山、その金竜山の一所に、川面へ突き出して造られた、一宇の宏大な屋敷があり、その屋敷の奥まった部屋で、しめやかに話している男女があった。
「そろそろ彼らの来る頃だが、まだ水門は開かないかな」こう呟いたは男である。百歳以上ではあるまいか? そう想われるほどの老人ではあるが、青年のように血色がよい。葵の紋服を纒っている。「それはそうとお前さんが、突然当家へ見えられた時には、俺もいささか驚きましたよ」
「相済みませんでございます」こう云いながら微笑したのは、昆虫館館主の娘であった。すなわち他ならぬ桔梗様であった。
二十五
「いや全くお前さんが、突然ここへ見えた時には、私はいささか驚いたものだよ。がその代り久しぶりで、お前さんのお父さんの消息を知り、嬉しくもあれば懐しくもあった。だがどうもちょっと困ったな。娘のお前をさえ寄せ付けず、そんなにも酷く憂鬱になり、部屋へ一人で閉じこもり、研究に浮身をやつしているとは。