Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
……よしよしこっちから迫り詰めてやれ」
足の爪先蝮をつくり、土を刻んでジリジリと、廻わりも込まずに前へ出た。
次第に後退さる集五郎、いわゆる気勢に圧せられ、ともすると太刀先が上がろうとする。上がったが最後、「突き」が来る。そこで押し静め、押し静め、盛り返して一歩出た。と、小一郎は一歩引いた。と、集五郎また一歩! と、小一郎一歩退がった。「しめた」と考えた集五郎、相手が「釣手」で退くとも知らず、ムッと気息、腹一杯、籠めると同時に躍り込んだ。両肘を延ばし、太刀を上げ目差すは小一郎の右の肩、そいつをサッと左袈裟!
「駄目だよ」と小一郎は一喝した。瞬間に鏘然たる太刀の音! つづいて大きく星空に、一つの楕円が描かれた。すなわち一式小一郎が敵の刀を払い落とし、身を翻えすと片手切り、大刀宙へ刎ねたのである。こいつが落ちれば集五郎の首は、斜に耳から切られただろう。
その際どい一髪の間だ、女の声が聞こえて来た。
「蝶々をご存知ではございますまいか」
美しい清浄な声であった。ス――ッと小一郎の心から、殺伐な邪気が抜けてしまった。
と、また女の声がした。
「永生の蝶でございます。