Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
どうも当世の娘っ子は、油断も隙も出来ないの。叔父さんを前にちゃアンと据えて、恋人があるというのだから。とんだ姪さんを持ったものさ。私は謝罪まる、私は謝罪まる。……そうは云っても面白いの。やっぱり血統は争われない、反骨稜々侠気充満、徳川宗家に盾突いて、日本は狭いと云うところから、海を渡って異国へ行った、我々のご先祖の血液が、お前のお父さんにもこの私にも、お前さんにも通っているらしい。……うむ!」と云うとどうしたものか、葵ご紋の威厳のある武士は、にわかに不思議な表情をしたが、すぐに磊落に笑い出した。「先生かな、泥棒さんの。いるともいるとも、ここにいるよ」云うと一緒に手を延ばし、手首を曲げると人差し指を延ばし、ポンと自分を指さした。それから云ったものである。
「大泥棒! 異国をさえも盗む! そういう泥棒の先生がな」
――でまたそこで磊落に笑った。
二十六
磊落に笑った大きな声に、吃驚したというように、床に活けてあった牡丹の花が、一片ポロリと床の上へ零れた。
顔輝筆とも思われる、蝦蟇仙人と鉄拐仙人、二人を描いた対幅が、床一杯に掛けられてある。