Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんろのまき

神鷺之巻

泉 鏡花

Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「――余り不思議です。お誓さん、ほんとのお誓さんなら、顔を見せて下さい、顔を……こっちを向いて、」

ほとんど樹の枝に乗った位置から、おのずと出る声の調子に、小県は自分ながら不気味を感じた。

きれぎれに、

「お恥かしくって、そちらが向けないほどなんですもの。」

泣声だし、唇を含んでかすれたが、まさか恥かしいという顔に異状はあるまい。およそ薙刀を閃めかして薙ぎ伏せようとした当の敵に対して、その身構えが、背後むきになって、堂の縁を、もの狂わしく駆廻ったはおろか、いまだに、振向いても見ないで、胸を、腹部を袖で秘すらしい、というだけでも、この話の運びを辿って、読者も、あらかじめ頷かるるであろう、この婦は姙娠している。

「私が、そこへ行きますが、構いませんか。今度は、こっちで武芸を用いる。高いこの樹の根からだと、すれすれだから欄干が飛べそうだから。」

婦は、格子に縋って、また立った。なおその背後向きのままで居る。

「しかし、その薙刀を何とかして下さらないか。どうも、まことに、危いのですよ。」

「いま、そちらへ参りますよ。」

落ついて静にいうのが、遠く、築地の梅水で、お酌ねだりをたしなめるように聞えて、銑吉はひとりで苦笑した。