Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
餡子ではあんまりだ、黄色い白粉でもつけましょう、牡丹亭きな子です。お一ついかが……そういってどうかすると、お客にお酌をした事もあるんです。長逗留の退屈ばらし、それには馴れた軽はずみ……」
歎息も弱々と、
「もっとも煩いことでも言えば、その場から、つい立って、牡丹の間へ帰っていたんです。それというのが、ああも、こうもと、それから、それへ、商売のこと、家のこと。隠居夫婦と、主人夫婦、家のものばかりも四人でしょう。番頭ですの、女中ですの、入かわり相談をしてくれます。聞くだけでも楽みで、つんだり、崩したり、切組みましたり、庭背戸まで見積って、子供の積木細工で居るうちに、日が経ちます。……鳥居数をくぐり、門松を視ないと、故郷とはいえない、といわれる通りの気になって、おまいりをしましたり。……逗留のうち、幾度、あの牡丹の前へ立ったでしょう。
柱一本、根太板も、親たちの手の触ったのが残っていましょう。あの骨を拾おう。どうしよう。焚こうか、埋めようか。ちょっと九尺二間を建てるにしても、場所がいまの田畝ではどうにもならず。(地蔵様の祠を建てなさい、)隠居たちがいうんです。