Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
倒れそうに腰をつくと、褄を投げて、片手を苔に辷らした。
「灰汁のような毛が一面にかぶさった。枯木のような脊の高い、蒼い顔した※々、あの、絵の※々、それの鼻、がまた高くて巨いのが、黒雲のようにかぶさると思いましたばかり……何にも分らなくなりました。
あとで――息の返りましたのは、一軒家で飴を売ります、お媼さんと、お爺さんの炉端でした。裏背戸口へ、どさりと音がしたきりだった、という事です。
どんな形で、投り出されていたんでしょう。」
褄を引合わせ、身をしめて、
「……のちに、大沼で、とれたといって、旅宿の台所に、白い雁が仰向けに、俎の上に乗ったのを、ふと見まして、もう一度ゾッとすると、ひきつけて倒れました事さえあるんです。
――その晩は、お爺さんの内から、ほんの四五町の処を、俥にのって帰ったのです。急に、ひどい悪寒がするといって、引被って寝ましたきり、枕も顔もあげられますもんですか。悪寒どころですか、身体はやけますようですのに、冷い汗を絞るんです。その汗が脇の下も、乳の処も、……ずくずく……悪臭い、鱶だか、鮫だかの、六月いきれに、すえたような臭いでしょう。