Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのりれきしょ
私の履歴書
井上 貞治郎
Lesen Sie 私の履歴書 (わたしのりれきしょ) von 井上 貞治郎 (いのうえていじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.380 Zeichen · 69 Bildschirme
間もなく国の親から返事が届いた。案に相違して「理髪店に勤めるのはまかりならぬ」というきつい文面である。
こんな落着きのない日を送っていては取返しのつかない気もしてきた。こうなるともうじっとしていられないのが私の性分である。少しのたくわえがあったのと、足らぬ分は着物を向かいの質屋へ二円で入れて早々に横浜をあとに大阪へ帰ってきた。汽車賃はたしか四円ぐらいだったと覚えている。
横浜から舞い戻った私は、もと家に出入りしていた大工で、大阪の新町でメガネ屋兼幻灯屋をやっていた寺田清四郎氏に身元引受人になってもらった。こうしたれっきとした引受人があるからには、少しでもいい店で働きたいものだと、私の欲も大きくなった。口入屋を通じてまず行ったのは堺筋の砂糖屋、次が心斎橋の洋服屋だったが、どれも三日と続かずじまい。砂糖屋はあまりに労働が激しすぎ、洋服屋で一日中すわって店番するのはなお一層つらかった。
もっとも三日と続かなかったのにはほかに理由がある。当時の習慣で、口入屋から行くと三日間のお目見えがあり、三日間でやめると手数料がいらない。三日をすぎると主人と本人とが半々の出し合いで口入屋に手数料を払うのである。