Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのりれきしょ
私の履歴書
井上 貞治郎
Lesen Sie 私の履歴書 (わたしのりれきしょ) von 井上 貞治郎 (いのうえていじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.380 Zeichen · 69 Bildschirme
段ボール機のヒントを得る
あるいはそんな私が薄気味悪くなってきたのかもしれない。ある日『いつまでも東京にいても仕方がない。おれは国へ帰る。あとはお前でどうなとしなよ』と言い置いて私に十銭玉一つと、古い赤げっとをくれたまま、そそくさと私から立ち去っていった。
『この十銭から私の再出発が始まるのだ!』
忘れもしない、それは四月十二日だった。上野公園では咲き誇る桜の下で、花見客がうかれる陽春を、私はうすぎたない冬服姿で、もらった十銭玉が汗をかくほどにぎりしめ、赤げっとを小わきに抱いて、とぼとぼ歩き出した。
段ボール機のヒントを得る
阪大佐太郎と別れて、私はまたひとりになった。そしてどこをどう歩いたのか半蔵門のあたりまできていた。「この土手に登るべからず」と書いてあるお堀の土手に登って皇居を遥拝し、夕暮の景色をぼんやりながめている……。ひとりの救世軍士官が通りかかって声をかけた。
『“ときのこえ”を買ってくれませんか、一部二銭です』『よし買おう、その代わりに君の帽子には世を救うと書いてあるがひとつおれを救うてはくれんか?』私は土手をおりて、中国で刷った赤い名刺を差出した。『今夜の宿もないんだ』