Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのかつどうしゃしんぼうかんし
私の活動写真傍観史
伊丹 万作
Lesen Sie 私の活動写真傍観史 (わたしのかつどうしゃしんぼうかんし) von 伊丹 万作 (いたみまんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.073 Zeichen · 30 Bildschirme
だけはこの小屋で見た。特別興行という意味合のものか、そこらはよくわからない。
これものちの話であるが中学五年のとき実川延一郎が実演でこの小屋にきたので見に行つた。出しものは「肥後の駒下駄」と、「お染久松」、「土蜘蛛」、「輝虎配膳」などで、延一郎は駒平、お染とでつちの早変り、これは人形振り、「輝虎配膳」は他の役者の出しもので延一郎は出なかつた。
この時分の延一郎は眼のよく光る綺麗な男であつたが、自分が使うようになつた延一郎はしわくちやのじいさんで、眼もしよぼしよぼしていた。
そして会うたびに懐しそうに手を握つたり、こちらの肩へ手をかけたりしては「また使うておくれやすや」と言う男であつた。トーキーになつてからはわずかな語数のせりふでもまちがえて何べんとなくやりなおさねばならなかつた。そしてやつとすむと、すぐにやつて来てこちらの膝へもたれ込むようにして「何でどすやろ、何でどすやろ」とまちがえたことをさも心外そうにそう言うのであつた。そんなときにうつかり「齢のせいだよ」などと言うことはどんなに残酷なことになるかわからないので、私はこの善良な老人を慰める言葉に窮してしまい、黙つてさびしく笑うよりしかたがなかつた。