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Japanische Klassiker mit Furigana

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わたしのおぼえがき

私の覚え書

宮本 百合子

Lesen Sie 私の覚え書 (わたしのおぼえがき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.746 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

知ろうともしなかった此時間の記憶は後になって、意外に興味ある話題になった、何故なら、東京であの大震は十一時五十八分に起ったと認められている。ところが当時大船のステーションの汽車の中にい、やっと倒れそうな体を足で踏張り支えていた私の弟は、確に十二時十五分過頃始ったと云う。鎌倉から来た人々もその刻限に一致した。其故、私の見た時計に大した狂いのなかったことを信ずるなら、東京に近く、震源地に近い湘南地方の方が逆に遅れて、強く感じたと云うことになるのである。

その日は、一日、揺り返しが続き、私は二階と下とを往来して暮してしまった。一度おどかされたので、又強くなりはしまいかと、揺れると落付いていられない。皆も、近年にない強震だと愕いた。けれども、真逆東京にあれ程のことが起っていようとは夢想するどころではなかった。何にしろ福井辺では七月の下旬に雨が降ったきり、九月一日まで、一箇月以上一度の驟雨さえ見ないと云う乾きようであった。人々は農作物の為めに一雫の雨でもと待ち焦れている。二百十日が翌日に迫っていたので、この地震は天候の変化する前触れとし、寧ろ歓迎した位なのであった。