Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
国土病む
国土病む
直義は残って、なお重臣たちと、今後の方針をかためあった。
御逃亡の君については、詮議はもちろん、尊氏の意を服膺して、むしろ予想しうる二次、三次のそなえに心をくばるべきであるとし、ほどなくみな、退出した。
そのあと。
直義は、広間から兄のいる一殿へ渡って行った。――なにかよい話があるといわれたが、どんな話が自分を待つのか。――彼もいまは、いつものおちつきにもどっていた。
彼を見ると、尊氏は、
「すぐ、正月だなあ」
と、言った。
話は、そんなことばからほぐれてゆき、――全然、時局のことではなかったのである。
「ほかでもないが弟。近々に、上杉重能がお供して、母者をこれへおつれして来るぞ。……どうだ、うれしかろうが」
「えっ、母上を」
「元弘いらい、ほとんど、別れ別れ、親と子、ひとつにいたこともないわしたちだった。父貞氏どのの御逝去のころを境に、世は大乱にむかい、われらは戦陣また戦陣――。母者もまた、あの鎌倉から三河、伊吹、さらには丹波の山奥と、流転に流転をかさねられた……。おもえば御不幸なお方ではある」
「上杉伊豆(重能)の領地、丹波の梅迫へと、夏ごろ、ひそかにお移りとは、かねて伺っておりましたが」