Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうする?」

尊氏のほうから言った。

この「どうする?」は二度目なのである。こんども直義はすぐ口を開かなかった。こっちから訊きたいのだ。こんなせっぱつまった心外な決定を弟にいわせようとするのは兄の卑怯ではないか。

「御意にまかせます。直義としてはそれしかお答えのしようはない」

「ちがう!」尊氏は逃すまいとするものを抑えるように。「――師直がつきつけてきたこの最後の箇条に、何と最後の一言をくれてやるか、そこの返辞をそちらの胸に叩くのだ。わしの答えでは意味をなさん」

「心外でたまりません。かりにも主人が家来にこんな箇条をつきつけられ、しかも這奴の武力にここで屈するなどは」

「無念は無念だが、ひとつ悔やみを、わしとそちとで、何度いってみても始まらぬ。すでにここを囲んだからには、師直も腹をすえてのことだろう。その求めを蹴れば、四門を破って、討ち入って来るにきまっている。さもあらば、主人として、それに応戦せざるを得ぬ。そちとわしとが家来をあいてに斬り死にすることが、さあ、どうかな? ……征夷大将軍尊氏と、副将軍直義とが、焼けあとに枕をならべて死んだとなった明日を考えてみるがいい。