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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

尊氏は妄想を追うように、意識をかえた。今はそんなことを思ってみる時ではない。また、ここの場所でもなかった。

ついにさいごまで、直義は尊氏がいうところの反省もせず、師直との妥協にも、自分からは口をあかずにしまった。だが尊氏がやがて彼に諮った最終案には、

「こうなっては、いたし方もございますまい」

と、冷静に澄みきって、それに逆らいもしなかった。

そこで、師直との交渉が次の提示のもとにはこばれ出した。

――上杉重能、畠山直宗の二名は、流罪に処する。また直義の奉行人斎藤利康、修理之進、僧妙吉の三名は、すぐ邸内から師直方へ引きわたす。

さらに当の直義は、今後、政治の面からは一切身を退く。そして鎌倉から尊氏の嫡男義詮(幼名、千寿王)を呼んで直義の後任にすえる、という条項だった。

「ふ、ふ」

と、直義はこの交渉を、兄と師直との芝居であったもののように心中では冷笑していた。

「やはり兄の本心は義詮を自分のあとめに正しく据えねば安心できなくなって来たのだろう。……この直義にも一子如意丸があり、直冬という養子もいる。また一族や武士の腹を疑えばみな一つでない。