Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
百事これで終った」
顕氏と国清のふたりは、和睦の不成功に辱じて、尊氏に暇を願った。国元へ引っ込んで、剃髪したいというのである。
尊氏は、二人へ言った、
「羨ましいなあ。そちたちにはそれも出来るか。だが尊氏には、口に出すこともできぬ」と。
尊氏は一たん京都へ戻った。
東国への発向を急がねばならない。直義が北陸からひがしへ移動した目的は明白である。鎌倉に恒久的な地盤を固めようとするにあろう。もし関東一円が直義方となったら尊氏の中央の位置は浮いてしまう。一大事である。尊氏はめずらしく慌てたのだった。
いちどは暇を願っていた細川顕氏も畠山国清も、このさいの窮状を見てはつい去りも得ず、尊氏と共にその日から難局の打開にあたり出した。
時に、吉野からは南朝の勅使も入京している。
勅には。「一切を聖断に仰ぎ、親政に服すとの申し出で、神妙である。一日もはやく時局の騒乱を治めて、忠節の実を挙げよ」と、ある。
なおまた、直義討伐の綸旨もあわせて降下された。後村上のおん名である。
しかし勅の裏には、北畠親房の智謀の匂いがこもっている。尊氏はつつしんで請文をたてまつった。親房は尊氏を読み、尊氏は親房を読んでいた。