Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
京都回復
の望みなどはもう思いもよらなかった。なんといっても、宮方軍の総司令義貞が戦死と聞えては、全国的に波及するところも決して少なくないだろう。それを思い、これを思う人々は、
「どうなるのか」
「この果ては?」
と、ただ自失の色めきを、実城院の御座に詰めあっているだけだった。
何しろ、すべてはここに一頓挫のほかはなかった。――けれど奥まった行宮の深くでは、かえって何かふしぎな活力のような精気が、そこの昼もうすぐらい御簾の御灯にあかあかとかがやいていた。そしてたえず、准后の廉子がまめやかな奉侍をしたり、時刻時刻には、かならず煎薬をさしあげたりなどしている御起居のさまなどもよくうかがわれる。
後醍醐は、廉子がさしあげるその薬湯のをお手にしながらも、
「定房をもいちど呼べ」
と、前ノ内大臣定房をしばしば召されたり、またすぐ、
「親房を」
と、北畠親房を交じえて、長時間にわたるおはなしがあるなど、およそ、表の衆臣のあいだにあるような絶望感に負けたような御容子は全くなかった。むしろ――義貞死ス――との悲報が入ってからの後醍醐は、つねにも勝るような御音吐で、夜もおそくまで、終日、人々の意見を徴しては、次の挽回策に、心身のお疲れも忘れているかのようだった。