Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
彼がいかに乱淫無頼な男であるかは、次の一例でも分ろうと、書いているのだ。
高家には、特命をもっている老女がいる。
老女は師直の命で、ひまあるごとに、家臣のやしきを訪れ、眉目よい女房があると、ひそかにこれを師直へ耳打ちしておく。
事を設けて、師直はそれらの妻女をひとまとめに今出川の邸に呼ぶ。――主命、何事ならんかと、彼女らの良人は化粧も念入りに着飾らせて出してやる。
しかるところ、それらの女房は、家に帰ってきても、口をつぐんで、なんらその日のお招きのもようについては、語るところがほとんど少ない。
事、再々に及ぶので、亭主どもがへんに思って、だんだんと探ってみるに、当日、主君の師直は、女房連があゆむ細殿の簾の蔭にいて、つぶさに彼女らの品さだめを味わい、やがて遊宴のあいだには、お名ざしで、別殿の奥へ引き抜いてゆく。はなはだしいときは、それが三名にもおよぶことすらある、というてんまつがやっとのことで判明した。
やれ、こいつめが。
なんで今日まで黙りおった。
いかに、ご主君たりといえ。
さても怪しからぬ沙汰かな。さて、どうする。女房めを追い出すか。俺どもの方から主家を追ン出るか。