Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
正行
が、この危険な関係は、師直の胸にたたまれていただけで、秋、また翌年の正月までは、すくなくも表面には、何らかたちには現れなかった。
というよりも、都は、外に忙しくなり出していたのである。
八月、細川顕氏は、河内の池尻へ出陣し、九月、藤井寺で戦い、十月には、山名時氏もまた発向した。
すべて故正成の遺子、楠木正行の行動にあたるためだった。しかも山名、細川の大軍も、天王寺附近で大敗北を喫し、都の年暮は騒然たるものに変っていた。で、高ノ師直もまた自身、諸大名の軍勢をひきいて、時も正月というのに、河内の戦野に立つ身となってしまっていた。
正行
そのごの吉野御所は、いいようもない淋しさだった。
後村上も二十一の帝らしい帝にはなっていたが、それでも廉子は、ただの母性愛と重たい国母の保育とを身一つにしていた。そして塔ノ尾(後醍醐の御陵)へもよく詣って――
みよし野は
見しにもあらず
荒れにけり
あだなる花は
なほ残れども
と、そんな気の弱い歌も時には詠まれるほど、何もかもがあじけない儚さに映るひとみにもなる彼女だったが、しかし東から北畠の亜相がこれへ帰ってからは、廷臣たちの意気もとみに揚がり、廉子も今なお少しのおとろえもみせぬその人に、