Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あきくさ

秋草

島崎 藤村

Lesen Sie 秋草 (あきくさ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.172 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

たい。薫は、春咲く蘭に対して、秋蘭と呼んで見てもいいもので、かれが長い冬季の霜雪に耐えても蕾を用意するだけの力をもった北のものなら、これは激しい夏の暑さを凌いで花をつける南のものだ。緑も添い、花も白く咲き出る頃は、いかにも清い秋草の感じが深い。この薫が今は花のさかりである。そう言えば、長く都会に住んで見るほどのもので、町中に来る夏の親しみを覚えないものはなかろうが、夏はわたしも好きで、種々な景物や情趣がわたしの心を楽しませる上に、暑くても何でも一年のうちで一番よく働ける書入れ時のように思い、これまで殆んど避暑の旅に出たこともない。ことしもと、それを楽しみにしているところへこの陽気だった。不思議にも、ことしにかぎって、夏らしい短か夜の感じが殆んどわたしに起って来ない。好い風の来る夕方もすくなく、露の涼しい朝もすくなければ、暁から鳴く蝉の声、早朝からはじまるラジオ体操の掛声まで耳について、毎日三十度以上の熱した都会の空気の中では夜はあっても無いにもひとしかった。わたしは古人の隠逸を学ぶでも何でもなく、何とかしてこの暑苦を凌ごうがためのわざくれから、家の前の狭い路地に十四五本ばかりの竹を立て、三間ほどの垣を結んで、そこに朝顔を植えた。