Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅうふうふき

秋風不帰

山本 周五郎

Lesen Sie 秋風不帰 (しゅうふうふき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.593 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

本来なら善之助とも幼少からの親友だし、第一に彼を訪ねたいのだが、許嫁という縁に惹かされることが憚られた。

ゆうべ逃げて来た道を逆に、月昌寺の森まで来ると、もう晩秋の日はとっぷりと暮れていた。……むろん表通は歩けない。裏道を用水堀に添って馬場まで行き、そこから寺町の暗がり伝いに武家屋敷へ出た。七沢吉郎兵衛の家は柳小路の地端れにある。夏雄は見覚えの黒塀に行き着くと、それを東裏へ廻った、……吉郎兵衛の居間の横へ通ずる木戸があるのだ。

――夜講の戻りによくここから訪ねた。

あの頃は平気で押し明けた木戸だが、今は微かなきしみも耳に痛い。

入ると直ぐ植込みで、三間ほど先に灯影の明るい障子が見える。吉郎兵衛の居間だ。誰か客があるとみえて静かな話し声が聞える。

夏雄は植込みの中に身を跼めて待った。

話し声はなかなか絶えない。

城の櫓で打つ八時の太鼓が聞えた。

それから更に半刻も待ったであろうか、やがて賑かな笑い声と共に立ち上る気配がして、障子をあけて客が出て来た。……客は二人、それも若い夫婦づれである。

――小野欣弥だな。

蒼白い細面の顔で男の方はすぐ分った。