Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅうふうふき

秋風不帰

山本 周五郎

Lesen Sie 秋風不帰 (しゅうふうふき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.593 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「なにをする!」

仰天しながらも、さっと左へ跳ね退いて、

「拙者は狩谷夏雄、人違いするな!」

と喚きながら、見廻す。

わっと逃げ散る往来の人々の中から、充分に身拵えをした武士たちが十二三人、道の上下を断ってじりじりと詰め寄るのが見えた。

「待て、どうするのだ」

夏雄は再び叫んだ。

二

「理由を話せ、次第に依っては手向いはせぬ。訳を聞こう、狩谷夏雄と知っての事か」

「問答無用!」

初めに抜打ちを掛けたのが喚いた。

「おのおの、討ち洩らすな」

「心得た!」

刃の垣は見る見る縮まって来る。

――ふしぎだ?

夏雄はまだ夢でも見ているような気持である。なんのための討手だろう、何事が起ったのだろう、若しや彼等は五年間の修業の腕を試みに来たのではなかろうか?

「……えいッ」

気合と体と白刃が一つになって、左手から一人が火のような打ちを入れて来た。

夏雄は、右足を縮めて身を捻りざま、背負っていた袋を解き木剣を抜出しながら、左へ左へと体を移した。……僅かのあいだではあるが、取巻く人数の殺気が、のっぴきならぬものだということを知った。

――唯事ではない。

夏雄は、ようやく事の重大さを感じ始めた。